旅立
20年ぶりに会った従兄弟や伯父
それぞれ面影を残しながらも
以前のその人ではなくなっている
祖母は無垢な子供に戻り
私の事も解らない
60年以上連れ添い、
毎日手を繋いて寝ていた人が
永遠に眠った事を
理解しているのか
していないのか
曲った背中
白く濁った目でじっと祭壇を
見あげ何を想っていたのだろう。
戦艦で台湾まで行き、三人の子を育て
白髪混じりのヒゲが痛くて嫌だった
ゴツゴツの手
電車を見に連れていってくれた
いつも相撲を見ていた
手足の感覚も無くなる吹雪の朝
毎朝学校まで送ってくれた
将棋を教えてくれた
釣りを教えてくれた
かっこよかった
じーちゃん ありがとう
最後に会えていがったなぁ
んだば いってらっしゃい。